UEDA Dental Clinic

 うえだ歯科クリニック

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歯周病

お口の中の二大疾患のひとつである「歯周病」についてまとめたコーナーです。


 


歯周病が進むとどうなるのか?

1.歯が失われる!

 歯がグラグラする、歯ぐきが腫れる、あるいは膿がたまる(出る)、などの症状を繰り返し、ついにはじぶんの歯を失うことになります。
 お子さんの場合、子供の歯(乳歯)を失ったらそのあとに大人の歯(永久歯)が生えてくるのであまり心配しなくてよいのですが、
大人の場合は、その後に生えてくる歯はありません。鮫(サメ)などは一生のうちに何度でも生え変わりますが、ヒトの場合は残念ながら生え変わりがありません。。

2.骨も失われる!
 これも重要な問題です。
 歯はさまざまな組織(歯周組織)により支えられていますが、そのなかでいちばん重要なのは歯槽(しそう)骨です。歯周病の進行に伴い歯槽骨もどんどん吸収し、併せて歯と歯槽骨(しそうこつ)を結ぶ繊維組織(歯根膜)も失われます。
 
これは、その後の処置にも影響を及ぼします。
 歯が失われた後の処置にはインプラント・義歯・ブリッジ・歯の移植などがありますが、骨が失われたままの状態ではいくつかの処置(インプラント・歯の移植)が受けづらくなるので、場合により事前に歯槽骨を回復させる処置を受けていただく必要があります。
 また、ブリッジを行った場合では欠損部位の土手(歯ぐき)が大きく凹みお手入れがしづらくなりますし、義歯の場合でも土手が薄くなるので安定が悪く何かにつけて外れやすくなります。

3.場合により全身疾患の引き金になる!
 歯周病は、歯垢・歯石に付着している種々の歯周病菌がひきおこす感染症です。菌は血中に入り込むと血行によりほかの組織へ入り込む可能性があります。多くのケースでは感染は歯のまわりでとどまることが多いですが、これはじぶんの身体に備わっている免疫力により菌による感染が抑えられているからなのです。ところが
何らかの理由で免疫力が低下すると、歯周病菌が原因でほかの組織で新たな感染症がひきおこされ、全身に重篤な影響を与えることがあります
 糖尿病、心筋梗塞などの全身疾患の発症リスクが高まることは古くから知られていますが、最近では難病指定のバージャー病(末梢に生じる血管病で下肢などの壊死をまねくこともある)の原因であることが学術研究で判明しました。
 今後の学術研究で、歯周病菌が原因となるほかの疾患が新たに判明する可能性があります。


歯周病とはどんな病気?

1.感染によりひきおこされる炎症疾患である (「歯周病の背景(原因)」参照)
 歯肉・骨(歯槽骨)・歯根膜などの歯周組織が炎症を起こす疾患です。
 初期の段階だと炎症が生じても組織が元通りに戻るものですが、ある程度進行すると歯周組織は元に戻りません。炎症をひきおこす原因は歯垢歯石に含まれる種々の菌類で、歯周病はこれら菌類による感染症だと考えられています。

   
 現在のところ、歯周病の原因として特定されているのは以下の微生物です。
 ・Porphylomonas gingivalis(嫌気性桿菌)
 ・Actinobacillus actinomycetemcomitans(嫌気性桿菌)
 ・Eikenella(嫌気性桿菌)
 ・Prevotella intermedia(嫌気性桿菌)
 ・Spirochete(スピロヘータ)
 ・Treponema selenomonas(トレポネーマ)
 ほかにもトリコモナス、Fusobacterium nucleatumなどが挙げられていますが、未特定の微生物もいるものと考えられております。
 
歯垢・歯石は数ある歯周病の原因の中でいちばん重要です。

2.歯垢歯石以外にも原因がある
(1)口の中のほかの原因
 歯垢や歯石の沈着を促進させる因子には以下のようなものが挙げられます。
 ・食物:自浄作用が低いと考えられている軟らかい食物、粘着性の高い食物
 ・歯列不正:ならびの悪い箇所に歯垢がたまりやすい
 ・口呼吸:口腔内が乾燥する状態では、歯垢が歯面にこびりつきやすい
 ・適合の悪い補綴修復物:段差に歯垢がたまりやすい
 ・外傷性咬合:噛み合わせの悪さ、歯ぎしり(ブラキシズム)やくいしばり、舌などの悪習癖など
 ・喫煙:タバコのこと。全身的原因にも挙げるべきなのでしょうが、歯周組織周辺血流を悪くするのが特徴です。
 そのほかにも歯の形態異常、小帯異常、などが原因として考えられています。
(2)全身的な原因 
 ・ホルモン:性ホルモンの変化
 ・
全身状態の悪化に伴う栄養障害
 ・
歯肉増殖を引き起こす可能性のある薬剤(抗てんかん剤のフェニトイン、カルシウム拮抗剤のニフェジピン、免疫抑制剤のシクロスポリンなど)
 ・
血液疾患(白血病、白血球機能低下など)
 ・
糖尿病
 ・ストレス

 このほかにも、遺伝的障害、抗凝固剤(脳梗塞後遺の患者様が服用している薬剤)などが原因として考えられています。


3.症状
 以下のような症状が出ます (「歯周病の進行」参照)
(軽度) ・歯ぐきが腫れる・痛む
     ・歯ぐきから出血がある
(中等度) ・歯がグラグラしだす
      ・歯ぐきが腫れて膿がたまる(出る)
(重度) ・歯のグラグラが強くなる
      ・浮く感じが出る
     ・何もしなくても痛い

4.むかしは「歯槽膿漏」といわれてましたが…
 余談ですが、この病気、30年以上前にその名称を聞いたことがありません。
 年輩の方もそう言われることでしょう。
 歯みがきペーストの宣伝でも「歯槽膿漏(しそうのうろう)の予防に」がうたい文句だったけど、「歯周病の予防」ではなかったはず(笑)
 つまり、昔は歯ぐきが腫れて膿がたまる(あるいは出る)、グラグラする、ぐらいになってはじめて病気であるという認識だったのです。歯垢や歯石がたまるぐらいでは病気とはいえなかったのです。
 しかしながら、その後の学術研究により歯垢や歯石がたまり歯肉をはじめとする歯周組織に炎症を起こす病気が「歯周病」であるという認識が生まれるようになり、上述のような膿がたまったり歯がグラグラするという症状が歯周病のなかでも重篤な部類に入る、という認識がなされるようになったのです。


歯周病の進行(イラスト)


1.正常の状態

  歯のまわりに何の炎症も認められない状態です。

   

2.軽度の歯肉炎
  歯ぐきの境目の部分で歯肉が炎症を起こしています。歯石沈着も。

   

3.軽度の歯周炎
   
 2.よりも歯石沈着の量が増えてきました。2.では歯冠だけに付着していたのに、ここでは歯根表面にも歯石が沈着しはじめました。このため、歯肉のみならず、骨も炎症をおこしはじめ、骨が溶け始めるのです。

   

4.中等度の歯周炎
   
 歯根に付着している歯石の量がだんだん増えてきました。3.よりも歯ぐきが下がってきております。歯の神経が残っているケースでは、冷たいものや熱いものがしみるようになってきます。また、根もとについている歯垢や歯石が原因で口臭が強くなる可能性が高くなります。少ないながらも歯ぐきから膿が出てくることもあります。歯のグラつきもこのあたりから目立ち始めます。

   

5.重度の歯周炎
 
 ここまでくると、末期です。根もとのまわりは歯石だらけで、支えるべき骨もかなり吸収しています。歯ぐきは腫れて膿がたまるし、4.のケースよりも知覚過敏が強烈になり、何もしなくてもうずくことも考えられます。かなりグラつき、水平方向のみならず垂直にも歯が動きます。痛みがなければ指でつまんで抜けてしまうこともあるでしょう。

 さまざま原因はありましょうが、歯周病進行のいちばんの原因は歯垢・歯石です。これらをきちんと取り除くことで歯周病の進行を防ぐことができます。みなさま、じぶんの歯をぜひ守りましょう!

 
 


歯周病に対する当院の治療方針

1.歯のお手入れ、プラークコントロールの徹底を図ります
 歯周病進行の最大の原因は歯垢・歯石です。これらをきちんと除去しておくことが歯周病進行予防につながります。
 日ごろのお手入れで除去可能な歯垢は、ご自分でとっていただく。そして自分では除去できない根元深くの歯垢や歯石はできる範囲で私たちが取り除いていきます。

2.噛み合わせを考えた治療も併せて行います
 歯が失われたままの状態で来院される方も少なくありません。なかには左右奥歯の噛みあわせが全くない状態の方もいらっしゃったりします。噛みあわせる箇所が少ないほど、残っている歯にかかる負担はひじょうに大きくなり、歯周病が部分的に進行しやすくなります。このような場合、義歯などの装置を先に入れるなどの措置により、かみ合わせのバランスをとりながら残っている歯の負担を軽減させることも考えております。
 歯が失われた箇所に補綴装置(ブリッジ・義歯など)がすぐ入るわけではありませんが、それでもずっと放置するのはお薦めできません。隣の歯などが倒れてきたり(傾斜)、噛み合っていた歯が浮いてきたり(挺出)してかみ合わせが狂う可能性があります。

 歯の欠損部位には最終的にきちんとした装置を入れていくことになるのですが、それまでの間に何かしらの装置を応急的に入れてかみ合わせのバランスをとることも、歯周病治療の一環です。
 しっかり噛めることを目指しましょう。

3.残せる歯、残せない歯は早めに決めます
 多少グラついているぐらいなら歯を残そうと考えますが、「これはどう考えても残せる歯じゃないな」と考えましたら、早めに抜歯を受けるようにお話しいたします。じぶんの歯を残せるものなら残したいと考えてはおりますが、残すのが厳しい歯も残そうとするのは無理があります。

4.じぶんのお口を守るため定期検診をすすめます
 歯周病は慢性疾患であると考えましょう。つまり、何かしらの理由で再発しやすい疾患なのです。歯石除去やかみ合わせの治療など歯周病治療がいったん終了したとしても、以後のお手入れがひじょうに大切であると考えられるのです。
 歯周病進行があまり進んでいない方でも半年に一度、かなり進行している方では3ヶ月に一度は定期検診においでいただきたい、と思っております。当院ではいったん治療が完了した患者さんを対象に定期検診の案内をはがきで出しております。


歯周病の検査について
当院で行われているおもな歯周病検査についてご紹介します

1.歯周組織検査
 おもには以下の項目が該当します。
・歯垢の付着具合の確認
・周囲歯肉の状態確認(炎症の有無など)
・ポケット診査
・歯の動揺度のチェック
 (写真1: 口腔内観察用カメラ装置「ペンスコープ」)  
 (写真2: 撮影記録。院内パソコンで保存管理しております)
 
(写真3: プローブ。歯と歯ぐきとの境目に生じる溝の深さをミリ単位で測定する器具です)


ポケット検査について

 プローブ(写真3)にて溝の深さを測定していきます。溝の深さは歯周病進行の目安と考えられ、数値が大きいほど溝が深く歯周病が進行していると考えていただければよいのです。
 ちなみに歯周病進行がほとんどない健常者でも1-3mm程度の溝は存在します。われわれは、溝の深さが4mm以上であった場合に歯周病進行を疑うことにしています。

 もちろん、数値だけをうのみにしないことが大切です。下のイラストのように、明らかに歯が大きくグラつき、溝がかなり深そうなのに、実際プローブがほんのわずかしか入らないケースがあります。これは、根の表面に付着している歯石がプローブの挿入をジャマしていることが考えられます。
 
 溝にプローブを挿入しようとするも、根の表面に付着している歯石(黄色の領域)にぶつかるので、この場合溝の深さが正確に測定できません。

 したがって、歯周病の検査では、ひとつの検査にとらわれずに、さまざまな視点から進行度合いを判断していくことが大切なのです。


2.レントゲン検査

 歯を支える組織の中で、もっとも大切なのは「骨」、つまり歯槽骨(しそうこつ)です。骨がないと、歯は支えられず、抜けていく運命にあります。このため、歯周病検査では歯や骨の状態を確認できるレントゲン写真が必要になるのです。
 全体で見る場合には、あご全体での写真(パントモ写真)で、部分的でかまわない場合は部分的な写真(デンタル写真)で、それぞれ撮影いたします。歯を支えている歯槽骨の吸収度合いを確認するのが目的です。
   
 写真左がパントモ写真、写真右がデンタル写真。歯槽骨の状態を確認したいときに写真撮影を行います。

 以上のような検査をもとに、歯周病がどのぐらい進行しているかを判定し、治療およびブラッシング指導を行うことになります。ただし、これらの検査は治療途中においても必要に応じて随時行っていくことになります。


歯周病の治療

 診療の流れは、基本的には
診査 → 診断 → 治療 → 診査
という具合になりますが、精密な検査を行うために時として簡単な治療を先に済ませておくこともあります。また、急な痛み・腫れをかかえている症例では、急性症状の除去は最優先事項となりますので、歯周病の細かい診査は後回しになります。

 歯周病治療の基本は、その一番の原因である歯垢・歯石を取り除くことにあります。

 歯周病の治療は歯垢・歯石が付いている場所などにより、おおまかに次の四通りに分けられることになります。

1.スケーリング
 歯のアタマの部分についた歯石を除去する処置です。
 おもに超音波スケーラーと呼ばれる器具を用いて行います。
 歯周病治療で必ず行うといってよいほど頻度の高い処置です。

2.ルートプレーニング
  

 1.のスケーリングでは歯のアタマの部分の歯石をとりましたが、ここでは歯の根面についている歯石をとることになります。
(特徴)
 ・歯ぐきに麻酔をかけた状態で行います
 ・歯石の強力なこびりつきを取り除くために、レーザーを用います
 ・ただし、決して歯ぐきを開けて行う処置ではございません。

3.外科的な処置
 2.のケースでもなかなか取り除けない場合、歯ぐきをきちんと開けて根もとまわりの汚れを徹底的に除去する必要がある、と考えられるケースがあります。2.でも麻酔が求められますが、ここではもう少し深めの麻酔が求められます。
 歯のまわりで骨吸収が著明なケースで行われることが多いです。歯垢・歯石の除去をはじめとして、慢性的な炎症により生じた腐った歯肉の除去を行ったり、切開した歯ぐきをもとに近い形態に戻したうえで歯肉を包帯用材料で保護したりします。
 場合により、ぐらついている歯では、固定を合わせて行っていくこともありますし、保険外ながら歯のまわりに骨をつくるタンパクを流す処置を行うこともあります。


4.歯ぐきに薬剤を流す  
 
 
写真は、歯ぐきのポケットに流す抗生剤「ペリオフィール」です
 1.および2.で改善されなければ、外科的処置が根本的な解決策となるのですが、なかには外科的処置にどうしても抵抗を示す方もいらっしゃいます。また全身疾患などの理由で外科的処置が禁忌の方もいらっしゃいます。
 そのような方には、抗生剤入りの薬剤を歯ぐきの溝(ポケット)に定期的に流し込み、部分的ながらポケット周囲の除菌を化学的に図ることになります。


治療を受けると歯垢・歯石が変わる!
          →歯ぐきがひきしまる!

    
 ここで、上の写真二枚を見ていただきましょう。
 左が治療前の写真、右が治療後の写真です。同じ方の、同じ部位から採取したものです。
 いずれもパソコンに取り込んだ位相差顕微鏡の映像をカメラで撮影したものですが、注目していただきたいのは、構成している微生物が異なっていることです。
 
治療前では、ひじょうに活発な運動能力を有する微生物(スピロヘータやトリコモナス、トレポネーマなどが該当する)が多かったのですが、歯冠および根面の歯石を徹底して除去する治療を施したのちに歯垢を採取したところ、、細長い桿状(かんじょう)の菌がほとんどで、上述の運動能力の高い微生物がほとんど見られませんでした。

 上述の微生物は、歯周病が進行した歯のまわりの歯垢でみられますが、これはポケットの深い、空気にほとんど触れないところで増殖するのが特徴です。したがって、治療を受け、歯ぐきをひきしめておくと、そのような運動能力の高い微生物が増殖する環境がなくなるため、歯垢を構成する微生物が変わるのです。

 もちろん、歯垢・歯石をきちんと除去することで、歯周組織の炎症をおさえることができます。この方も、
治療前はまわりの歯肉が赤く腫れ上がっていましたが、治療後は赤みがほとんどない状態になりました。

 いずれにしても、歯のまわりについている歯垢・歯石の除去、あるいはそれを構成している微生物の除菌が治療の基本ということになります。歯周病治療を受けられる方参考にされてください。


歯周病進行を止めよう


 じぶんの歯を失ういちばんの原因は、歯周病でしょう。
 いったん歯周病が進行しますと、たとえ歯垢・歯石をきちんと除去できたとしても、歯ぐきを元の状態に戻すことはできません。
 しかし、歯周病の進行については、やり方次第では止めることができます。

1.お手入れ
 歯周病進行のいちばんの原因は歯垢・歯石です。
 そのためには、ふだんから歯垢・歯石をためないように、きちんとお手入れすることが大切です。一日数回(最低1回以上)の規則的な歯みがきを心がけましょう。
 ・「歯みがきのコーナー」へ

2.喫煙本数を減らす
 極力タバコを減らすようにつとめましょう!
 いちばん望ましいのは「禁煙」です。
 タバコがいけない一番の理由は歯周組織への血流を低下させることにあります。ほかの全身疾患でもタバコの弊害はいわれていますが、歯周病でも同様です。血流低下は歯周組織へダメージを与え、歯周病進行および歯・歯槽骨の喪失をまねく可能性が高いのです。
 当院では、外科処置(歯周外科、抜歯、小手術、インプラントなど)を受けられる方に対しては、治療前後の一週間の禁煙を伝えております。外科処置を受けた部位の治癒経過が大きく異なってくるので、必ず指示を守るようにしましょう!

3.全身疾患の見直し
 糖尿病や免疫疾患など、全身疾患のなかには歯周病進行を促進させるものがあります。
 とくに糖尿病では血糖のコントロールができていないと、歯周病が進みやすくなるといわれております。そのためには、きちんと治療を受けて全身状態を整えておくことがたいせつです。

歯ぐきをひきしめましょう! 歯周病について/福岡市博多区の歯科医 うえだ歯科クリニック